くらしのうみ

書くのが好きな人の、たいしたことない大事な日々と人生。

「性はエンタメじゃない」

家事をする以外の時間はYouTubeでゆっくり解説を見ていた休日だった。
おすすめを次から次へと流し見ているうちに、とある鬱漫画アニメの解説にあたった。
見たことも読んだこともなかったから単純にどんな話か興味があった。
ものすごくしんどくなった。
見なければよかった。知りたくなかった。
どうして男性の作家さんは「性的な暴力や虐待を受けていた、いる女の子」を描きたがるんだろう。
どうしてそういうことをわざわざエンタメに組み込みたがるんだろう。
どうにもやりきれなくて、やりきれなさはだんだんと怒りへと変わっていってしまった。
自分でも何に怒っているのかそのときはよくわからなかった。何に、の部分と向き合うことはつらく思われた。
だから考えることをやめた。そんな自分にショックを受けた。
べつにみんながみんなそうじゃないだろうに。
性別でくくるとか、いちばんやったらあかんやつやん。
でも。
若い頃は「ちょっとやだな」と感じつつも「物語に必要な設定なら」と何とか割りきって読めていた。
だけどここ数年、四十代になってからだ。意図的にエンタメに組み込まれる性的ネガティブ描写への嫌悪感がとても強くなった。
ここ最近は拒絶反応すら出る。もう完全に受け入れられなくなった。
物語の中でまで理不尽な暴力に触れたくない。ポジティブなエロでさえ無理になりつつある。「性はエンタメじゃない」、という感情と感覚が日に日に強まる。

あのときの怒り。何に対して。それらを容認し量産し消費する世の中に、だ。

ふみふみこさんの「愛と呪い」の解説も見た。
自らの半生をもとに描かれた作品ということで、架空の物語よりもずっとつらいはずなのに、不思議と受け入れられた。
理由に性別を挙げるのはよくないことだけれど、やはり女性が自分自身を救うため自発的に描いた漫画だったからだろう。
この人の本ならちゃんと読んでみたいと思えた。